水をきれいにする人 4
事実、汚れた水の悪評について調べていたある新聞記者が、この夢のような設備を提案する変った田舎紳士を発見するまで、彼の計画は市の関係役人の誰の注意も引かなかったのです。
クロフタは彼の参入したこの新しい市場について何も知らなかったのですが、ただライバルたちの誰よりも自分がよく知っている2つのことに焦点をしぼって仕事をしてきました。
自分の住んでいる土地と彼が開発した技術です。
今度の新しい冒険も彼にとってはこれまでの事業のゆるやかで有機的な延長線上にあるもののように思っていました。
その点では彼はまったく間違っていたようです。
彼のやろうとしているのは公衆衛生の分野の革命だったのです。
表面的には彼がこの仕事に成功する道はないかに見えました。
アメリカでは公衆衛生問題は宗教に等しい扱いを受けていました。
たしかに病気を予防し、寿命を伸ばしたという点で公衆衛生専門家のすばらしい業績は国民の尊敬の的になって当然でした。
今世紀初頭、公衆衛生上の施策はもっぱら水に焦点があてられ、その成果は何千年にもわたる大敵であった各種の疫病の発生を根絶し、それによって人間の生活状態そのものを変えていました。
水の純度を極度に重要視し、公衆衛生を守るためにはいかなる代価を払っても純度を保持しなければならないというのが、専門家団体の固定観念となっていました。
失敗の代価が疫病である以上、それはもっともな原則です。
恐らく最も有力なその原則の支持者は、全国的規模の大手コンサルタント会社でしょう。
どの会社も多国籍企業や大きな自治体に対する、物資の調達についての助言役をつとめていました。