水をきれいにする人
低コストという問題に対するその鋭い見解さえも、彼の水の純度へ関わる姿勢について疑惑をかきたてました。
水質擁護論者にとっては、水質は技術的、経済的な問題というよりもむしろ道徳的問題なのです。
しかし、70歳のクロフタはレノックスの町の廃水処理システムについて7万3千ドルの見積りを提示しました。
専門のコンサルタントが提示した40万ドル、後に60万ドルに増額したシステムより運転経費も安く、効率のよい装置でした。
愚直な彼は、32万7千ドルの開きは大きな強みだと考えていました。
しかしそれは間違っていました。
町当局はあっさりと彼の案をしりぞけたのです。
環境保護庁(EPA)と州が高価な設備の95パーセントを負担することになったのです。
州は沈殿物を除去するためのダンプ・トラックの投入まで約束しました。
クロフタの装置を使用した場合には沈殿物は再生利用されるからトラックは要らないのですが・・・。
もっとも、町当局がそのトラックを道路に砂を撒くことに使ったとしても誰も文句はいわないでしょう。
都市行政委員会が、斬新でもっと安価なシステムを採用しようと言い出さないかぎり、政府機関は自治体に大盤振舞いをしたがるものです。
仕事をとることには失敗したもののクロフタもこの供応の余得にあずかりました。
この工場から排出される物質の試験という役目を手に入れたぼかりでなく、この次に主要都市との契約の機会があった際には別の方法でいかなくてはならないということを学んだのです。
2年後レノックスの山中の水源が異様な味と色で汚染され始めた時、彼は企業家としてごく原始的な行動をとりました。
その昔の穴居人資本家時代からの典型的な始動戦略です。